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   唯一の国産旅客機YS11が、9月で国内定期旅客輸送から引退した。64人乗りのプロペラ機、海外旅行とは縁がない。当社の20代の社員4人に聞いたが、YS11を知っている若者はいなかった▼生まれ故郷が離島のせいで、私は、度々この旅客機に乗った。離島空港は滑走路が短く、YS11のように滑走距離が短くて済む飛行機が格好だった。しかし、天候不順に弱く度々欠航した。予定した日に仕事に戻れず、その度に、「余裕持って予定を立てろ」と上司から大目玉をくらった▼苦い思い出が先行するが、引退となるとその雄姿が懐かしい▼YS11は、高度成長期に当時の航空技術の粋を集めて製造された。整備に手間がかからず「丈夫で長持ち」との評価が日本人エンジニアの技術力の高さを示した。しかし、生産・販売元の日本航空機製造の赤字で生産中止。それ以後、国産旅客機は生産されていない。いつかまた、国産旅客機が日本上空を飛ぶ日が来るのだろうか。
(10月07日号)
「カップに唇をつけたとたんに、牛乳が真っ黒くなって驚く。反射的に時計を見ると零時。賞味期限が切れたのだ」(穂村弘著「にょっ記」より)。賞味期限に神経質な今を鋭く風刺した▼賞味期限には日付がある。日付が変わるのが夜中の零時。それを過ぎたとたん不安になる。牛乳も白から黒へ変わるんじゃないか…▼賞味期限とは、法律に基づいて、味の変わらない目安を記す。ところが、伝統的な日本の味・梅干しやラッキョなどの保存食品にも、商品となると期限がある。昔、母親が漬けた梅干しなど、味が落ちたかどうか気にせず長期間食べていた▼普通の感覚からすれば「期限切れ」だけで処分するのはもったいない。生鮮食品は別として、製造年月から消費者が常識的に判断すればよいのに、と思う▼ところが、家庭の味を受け継ぐことも少なくなり、お手伝い未体験の世代が多くなった今、判断力も欠け、頼るのはラベル。浪費社会が進むゆえんなのかも。
(9月23日号)
高所恐怖症で根性なしだが、いつのころからか山歩きが好きになった。「どうして?」と知人に聞かれるが、「そこに山があるから」などとカッコイイものではない▼登山口でストレッチ。たいていは、ゆっくりと歩を進める。身体を登りに慣らすのに時間を要するからだ。それでも、15分〜20分登ったところで息切れしてくる。ここで、初登山の人は、頂上まで行けるか、不安になる。しかし、人の身体は不思議、切れていた息がしだいに整ってくる。急登では再び息切れ、足には疲れを感じ始める。そんなことを何度か繰り返し頂上へたどりつく。山頂に立った時の爽快感はあえて書くまい▼下山して温泉に浸かりながら身体の疲れを意識する。何かを思考しようとしても何も浮かばない。身体が「考えること」を欲していないことに気付く。そのことがとても心地よい▼この間の時間の経過は「非日常」。日常が悪いわけではない。ただ、時々離れる必要があるような気がする。
(9月16日号)
省エネを心がけたいが、なかなか長続きしない。それでも、自らに直接跳ね返ってくることなら続くかも▼今なら、エコドライブ。最近のガソリン値上がりは急。日本自動車連盟JAFでは、「誰でもできるエコ運転術」を勧める。インターネットでも閲覧できる▼ガソリンを最も消費するのは発進時。信号待ちや渋滞が日常的な市街地では、燃料の約4割を発進時に消費する。急発進を避け、ブレーキから足を離し、一呼吸おいて、ゆっくりとアクセルを踏む。加減速の繰り返しもよくない。前方の混雑など見極めながら、アクセルを一定に保つ。停止の場合も、早めにアクセルから足を離す。そうすることで「フューエルカット」という機能が働き燃料を使わない状態になる▼試してみたが、せっかちな運転者に車間を詰められたりする。皆で心がけてやってみたらどうかと思う。エコ運転は、燃費向上もさることながら、二酸化炭素の排出の抑制にもなるのだから。(9月9日号)
夏山登山から戻った先週土曜夜、今年初めて虫の声を聞いた。その前から鳴いていたのかもしれないが、意識したのはその日。もう、秋なんだ▼当社に虫嫌いの記者がいる。幼児体験に「自然」が欠けていたようだ。一般に、嫌われるのは「鳴かない虫」。ゴキブリやハエ…。それに比べ、コオロギやスズムシは、その声の涼感ゆえに好まれる▼日本では古くから、「気分」を「虫」のせいにする。「虫が好かない」「虫のいい話」…。娘に恋人ができると「虫がついた」。この場合、親にとっては「悪い」虫。恋は分別の範囲外。分別を超えたものはすべて虫のせい、だ▼コオロギの寿命は日照時間で決まるという。北と南では一生の長さが違う。例えば、四国のコオロギに日の当たる長さを変えていくと東北型に変化すると何かの本で読んだ▼人間も、同じ空気の中で経過すると、公務員は公務員体質に、会社員は会社員体質になる▼一寸の虫にも五分の魂。人間と虫の縁は古くから。(9月2日号)
 
   
     
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