村の入口だった 石仏群に迎えられ
動植物育む 食物連鎖の森


 船橋市には1ヵ所の「県民の森」と、10ヵ所の「市民の森」がある。市が地権者から借り受けて整備し、市民グループに定期的な清掃を委託している。今回歩いたのは、「八木が谷北市民の森」。面積3万2283平方bの雑木林には様々な動植物が生息していた。

 入口で大木のスダジイが出迎えてくれた。太い幹と土から浮き上がるようにして生える根。枝はねじれ、根元に並ぶ8体の石仏をいたわるように伸びている。石仏群は、庚申塔と道祖神で江戸中期から明治にかけてのもの。旧八木が谷村の西の入口にあたる場所で、村に災いが入らぬよう祭った。森の一角に庶民の歴史がひっそりと鎮座していた。
  森に踏み込むと、直線的に空に向かう木々たちが、その高さを競うように伸びている。スギ、シラカシ、イヌシデ、ムクノキ…。
  小学校や住宅地が隣接しているはずだが、耳に入るのは、落ち葉を踏みしめる自らの足音と、「ケーン、ケーン」というキジの声だ。重なる木々は、木漏れ日は通しても、文化の音は完全に遮断してくれる。
  現在この森の管理を委託されているのは「八木が谷北市民の森を育む会」。今でこそ美しい森になったが、以前はそこらじゅうにゴミが散乱していた。近くの住む土井和子さんら有志が、長い年月をかけて清掃活動や間伐を行い、今では林床まで光が届く明るい森になった。
  ベンチで一休みし奥へ進んだ。木々の間に紫黒色の花がぽつんと咲いている。マムシグサだ。注意深く見れば、まだまだ自然は残っている。
  この森を中心に一帯の林には、フクロウやミミズクがやってくる。森が育む昆虫や植物の実を餌にするモグラやネズミが多く生息し、さらに、それを餌とするフクロウのひなが餌採りの練習をする場となっている。ものの見事に「食物連鎖」が成立している生きた森。57万都市の一角にそんな豊かな自然があった。
  いつかフクロウに会いたいなあ、そんなことを願い森を後にした。
  【交通】京成線三咲駅から北へ約2`(徒歩25分)

(06/05/20号)


 
  
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