|
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「願いましては」が輪になって
脳活性化が地域を元気に
日常生活ではほとんど使われなくなったそろばん。ただ、計数感覚や集中力を磨くため、「特区」で小学校教育に取り入れられるなど、全国ではその効果を見直す動きもある。三山東小(大久保俊輝校長、477人)では先月から、5年生が、始業前の15分、そろばんに取り組み始めた。教えているのは、子供たちが「どこかで見たことがある…」、11人の「パチパチ先生」たちだ。
そろばん学習は火曜と木曜。8時15分、そろばんとエンピツを用意して、着席しておくのが約束だ。16日は、まず5の合成の復習から。先生が「1」と言えば「4」、「2」と言えば「3」といった具合に、「テンポとスピード」に乗せて元気良く声を出す。その後は、読み上げ算。「願いましては…」。先生の一声で、教室が静まりかえる。「聞く力を育て、理解力、集中力の向上につながる」(全珠連千葉県支部・佐久間美江子さん)のがこの読み上げ算だ。
「パチパチ先生」の多くは、地域の老人クラブの人々。大久保校長がそろばんの導入を考えたとき、いつも子供たちに「昔あそび」を教えてくれている吉野正一さん(70)らに声をかけた。めぐり合わせか、吉野さんは元銀行マン、妻の邑子さん(68)も信用金庫にいたという。
ただ、そろばんは日本の伝統文化。たとえ特別な経験がなくても、「なじみはある」のがこの世代だ。「見てあげるくらいなら…」。協力者の輪は広がり、要所では、ボランティアで全珠連千葉県支部の佐久間さんと一條英子さんが来てくれることになった。
同校が目指す学校像の1つは、「歴史や文化を大切にし、ふるさとを誇りに出来る学校」。子供に「確かな学力」を身に付けさせるための「地域の協力」は理想のかたちだった。そして、大久保校長が大事にするのが「感動」。本物を見る、自分の力で達成する…。意欲が育つのは、「心が動いたとき」だ。
算数が苦手と見える一人の男の子が、「そろばんって分かりやすい。もう指を折って計算しないよ」とこっそり笑顔で打ち明けてくれた。
「生活に余裕がある私たちの世代が、明るい地域づくりに貢献出来ると思う。この学校でそのモデルを作ってみたい。学校に出向くのは楽しい」と吉野さんは話す。子供の脳の活性化の試みは、地域の元気につながった。
(2006/2/25)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
|